エンプロイアビリティーと働き方改革
現在、週2回、電子メーカーさんで採用、教育のお仕事を頂いています。
その会社の株主はファンド会社ですので早期に企業価値を高めて上場するか高く売却するという目的で事業を買収しているはずです。
人事のミッションは、中期業績目標を達成するべく人材を強化し、モチベーションが上がる人事制度とすることです。
人材教育、社員教育は誰の責任で行うべきでしょうか?
●専門性、業務知識は自分の責任として学び、
●マネジメント教育は会社でも支援するべきと思います。
その意識を持たせるための教育が会社主催の階層別教育だと思います。
階層別教育は、何年かに1回、個々の能力開発意識を引き上げるための起爆剤だと言えます。
⭐️例えば電子回路の技術、コンピュータ言語の習得などの知識は自分の責任で勉強する。
⭐️コミュニケーション、プレゼンテーション、リーダーシップ、マネジメント、部下育成などは、自
分でも勉強するが、会社も階層別に、役割、ポジションで求められる水準を認識させ、学びの必
要性を認識させることも含めて教育をする
ということだと思います。
営業を例とすると、商品知識、商談のやり方、見積もり方法、契約、商品手配、納品、請求などの知識を会社、先輩から学び、ビジネスマナー、コミュニケーション、プレゼンテーション、マーケティングなどの業務知識は、自分でも学び、会社もその支援をする。OJTの方法、リーダーシップ、マネジメントは会社が必要としていることなので会社が教育するということです。
エンプロイアビリティーを強く感じたのは、10年前に中国に赴任し、彼らの専門家意識の高さに驚いた時です。退職時の退職事由調査の上位に、「この会社では教育機会が少ないし、自己向上ができない」がありました。
中国の労働契約書は労働局雛形があります。記載事項には、契約期間、給与の他に、勤務場所、勤務部門、業務まであります。必須記載事項ですので、それを変更する場合、本人の同意が必要です、
日本のように就社ではなく、本当に就職であり、自分の専門性は自分で決めて自分で勉強して、そのにより採用され、出来具合によりクビになるか昇格するか、真の「エンプロイアビリティー」を常に向上させなければ、契約満了で雇用は終了してしまいます。
会社の人事として20年働きました。人事異動では、専門能力が低い人でも、日本独特な社内スキル(社内でのみ通用する社内折衝力)が高い人は容易に当てはめ先が見つかったりしますし、大企業なので、社内で引受先がみつからなくても、地場の中小企業では通用する専門性があることがあり、出向させることができます。でもこの場合、給料分は全額もらうことができずに差額が発生します。
これが、その人の給与における世間相場と言えるかもしれません。
会社にいるときは、スキル以上の給与をもらっていたということになるかもしれません。
社外でも、社内と同額、それ以上の給与を貰える力、社外でも通用する専門性を持つことが、雇用される力、エンプロイアビリティーです。
日本企業は、終身雇用と引き換えにドイツよりも20%多い労働時間を低賃金で働かせ、ゼネラリストと称する社外では通用しない人も生み出し(これで成長する人もいるが)、そして、経営破綻で、外資に身売りしたりリストラしたりする時代になりました。
今は、労働者は自分の身を守るために、エンプロイアビリティーを高め、終身雇用を前提としない、会社と労働者が対等の立場となるべく方向転換をする時期だと思っています。